しかし、もちろん労働密度やノルマにあらわれる作業量の増大という側面も見逃すべきではないだろう。
重い作業負担は、長時間労働の根因であるばかりでなく、90年代に入ってからがそうであるように労働時間がいくらか短縮されても、いやそれが短縮されればそれだけいっそう、サラリーマンにつよく求められる傾向にある。
企業では、過去3年間に従業員の「疲労度が増した」職場は46%で、それが減った職場8%を大きくうわまわっていた。
疲労の原因としては、「仕事量・密度の拡大」「時間外労働の多さ」「深夜・早朝勤務や変則勤務」などが多かった。
そのほかには作業負担については、賃金や労働時間とは異なってオールラウンドで数値的な資料は少ないけれども、この節では「状況証拠」による推論と事例によって、この問題領域に関する最近の傾向に立ち入ってみる。
およそサラリーマン男女は、きわめて大きな区分ながら、チームで作業につきノルマも集団的に割当てられる人びと(タイプA)と、仕事の単独性がつよく個人別にノルマが課せられる人びと(タイプB)にわけられるように思う。
このように仕事をわけて作業負担の考察を進めたい。
タイプAには、まず、要員削減を目的として、または要員削減の結果として、以前よりも拡大された職務割当てを「柔軟に」こなしきることが求められている。
たとえば自動車工場では、一月に8人がジョブサイクルー分で遂行していた計48の工程を、もう翌月には6人が1.2分でやり遂げる。
外国人観察者を驚かせるこのような変化は、現代日本のものづくりの現場にまれではなく、こうしたフレキシビリティに対する労働者の耐性が、おそらくロボットの導入や部品加工の合理化とあいまって、たとえば80年代半ば以降の電機工業における組立ラインの人員配置を、同じ製品を作る他国の工場にみるよりもはるかにまばらにしているのである。
OLの世界にも同様のことが起きている。
もともと一般職OLの仕事は、VDT(ヴィデオーディスプレイ・ターミナル)のインプット作業、顧客の入金・出金チェック、計算、コピー、ファイル、ワープロ、書類配布、事務用品の整理、お茶くみなど、一つひとつは単純労働でありながらきわめて多様であった。
そこに多くの人員が配置されるならば、自然な分担関係ができあかって、仕事の多様性はむしろ職場生活のゆとりを保証するだろう。
現時点では主として退職不補充というかたちで人員がきびしく切りつめられ、OLたちの従来の自然な分担の垣根を越えて仕事領域をひろげることを余儀なくされている、たとえばこれまではわかれていた受付と端末機器操作の職務が統合されるというように。
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